彼女の瞳は小さな惑星
水宮うみ


数式で書かれた彼女が、数学の授業中居眠りしている。
彼女の意識は夢の中で、宇宙の果てまで駆け抜けていく。
数学教師の一声で彼女の数式たちが飛び上がり、寝起きみたいな顔をしてこっちを見る。

いつだって、彼女の周りには数式がぷかぷか浮かんでいる。文字が丸くて可愛らしい。
数式は永遠に残るものの筈なのに、彼女の口から吐き出される数式は何故か儚い。
原理的に、彼女以外誰も見ることのできない数式があって、それはこの星の軌道上を人知れず漂っている。
彼女の瞳に、無数の星が映る。


自由詩 彼女の瞳は小さな惑星 Copyright 水宮うみ 2017-02-15 20:00:19
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