わたしが眠れないとき
オイタル

わたしが眠れないとき
眠れないことを
わたしは
よく噛んでいる

わたしが眠れないとき
曲がった中指の先の届く距離に
耳の史蹟を
置く

わたしが眠れないとき
花花が群青色の香りをはなつ
(その花は
 暗闇の中で
 火を放つもの)

わたしが眠れないとき
人々が小さな穴をいくつも穿つ
(人は
 小さな穴に
 静まって)

夢は眠りの輪郭を越えて滲み出す
軋み出す夢の眠りの泥濘
ぬかるむ夢の卵 地卵
滲まぬ夢の先の
染まぬ

気が付くと

なぜか
眠れないわたしのときのように
眠れないわたし


自由詩 わたしが眠れないとき Copyright オイタル 2017-01-28 21:04:29縦
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