君が空のテープ持ってきて
ぼろぼろのラジカセに差し込んで
無音を永遠に再生してるから
私もしばらくここで聴いている

つくりごとの放課後
妄想してもいい部屋のなか

青空の飛行機雲眺めていたら
さっき君が吸ってた煙草の煙
色がなかったの思い出した

（君とどうやってうまく喋ろう）
無音がこんなにもうるさいなんて
はじめは思わなかった

（君とどうやって笑い合おう）
巻き戻ししたら余計なものまで
もとに戻ってしまう

なんとなく心地よい酸素があふれると
それとなくうわごとが窒息してしまう

あわただしく時計が黙り込むと
おびただしく安らぎが散乱してしまう

いっそこのまま君と敗北してしまえば
たぶん幸せなんだろう

質の悪い麻酔がまわるみたいに
たぶん楽になるんだろう

（でもそれはきっとつくりごとだから）


空のテープ
まだラジカセのなかでまわってる
音のない音をたれ流して
たまにプチプチ雑音鳴らして

ゆっくりゆっくり
そしてじんわりと