クツクツ
藤鈴呼


飛び出しそうな 苛立ちを
必死で 喰い留めるのは
御玉の役目

大きな柄杓が 有ったなら 
全ての苦しみを 救い上げることが 
出来るのに

そう願って 空を見上げたら 
当たり前のように 北斗七星

引っくり返った角度が 
何時だって 格好悪いと 

悪態 吐いていた 筈なのに
その夜は 涙が 出た

御玉は ドロドロになった カレーを 
必死で 救い上げてる

今日は 人参がない って 
言ったじゃない
ヒステリックな声が 響く

彩りは 何よりも 大事なのよ
私達は カラフルな世界に 
棲んでいるのだから

そんな 怖い顔して 
凄んだって 駄目

太刀打ち出来ない ジャガイモの隙間に 
今しがた 芽吹いたばかりの桜を 詰め込んで

ここで 越冬する 小さな虫たちに 
見せてあげたい

切り取った 空の光は 北極星
もっと 北へ行けば 
もっと 北風に 当たることが 出来るから

柔らかな バナナも 
カッチンコッチンに
冷たく 固く なってしまって

北極点よりも 問題点が 難解過ぎて 
ちょっと 理解するのに 時間が掛かっているの

溜まったストレスを 自由に開放するために 
甘い チョコレートを食べて 折り合えぬ 会話ごと

鍋で 溶かしてしまうより 
仕方ないんだもの

こんな 雪の日は 
足跡も 直ぐに 消えてしまうわ

革靴の コツコツと響く音を 
聞いていたいのに

アスファルトも 
まるで なかったかのように 
埋もれてしまうから

私は また 
ここで 丸くなって 眠るのね

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自由詩 クツクツ Copyright 藤鈴呼 2017-01-21 07:53:27
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