泪橋逆渡子(なみだばしさとこ)「ガチョウの夜」
花形新次

ガチョウと 生きてくなんて
出来ないと 首を絞めます
ああ、ガチョウとの夜

嘘とでまかせ 織り混ぜて
貶めるのが 大好きな
ガチョウ ガチョウ ガチョウの羽を
むしれば こんな私でも
いつか明日が 見えるでしょうか?

真冬の空を 北に向かって
渡って行きます ガチョウが一羽
無惨に荒らした あの土地に
俺の居場所は ないとばかりに
ガチョウ ガチョウ ガチョウの足は
一本フライドチキンにされて
チキンじゃないのに チキンにされて

ああ、ガチョウも
やがて消えます



自由詩 泪橋逆渡子(なみだばしさとこ)「ガチョウの夜」 Copyright 花形新次 2017-01-21 00:59:44
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