雪兎
藤鈴呼



お前は白い犬ではないと 呪文の如く 唱え始めた
連なる氷柱 

垂れ下がっている屋根の角度まで 
あと どれくらい

走り始めたタイヤを 歯止めするかのように
馬の轡型に並ぶ 葉の絨毯を 眺めつ進む

どう眺めても リードしか 繋げなかったであろう
早朝の陽射しは ハンパない程に 眩しいから

サンバイザーを 真横に建て付けて
その内 正面に戻すからサと 楯突くのです

ゆっくりと作業しないと 頭上に落ちるから 
注意散漫のままでは ひんやりした感覚に 苛まれますよ、
と 和尚

和の心を以てして この難問が 解けますか 
などと 問う

質問者と 回答者の 比例分配
ここに 雪粒ひとつ また 二つ

どうしてだろう 段々と 兎に見えて来た
ウサギ年に貰った 雪兎シールが 未だ残っているから
早めに使わないと イケナイのに

手紙を出す相手が いないのです

空いた隙間に埋め込まれた 瞳は 南天
ではないのだけれども 空虚な面持ちで
静かに呟く

その音が つー と 響くようで 
いたしかたない

ぎゅっと 握り潰す訳にも いきませんので
恐る恐る 歩を進める

真横に視線を 感じながらも
ゆっくりとした テイストだけ
味あわせていて

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自由詩 雪兎 Copyright 藤鈴呼 2017-01-20 22:39:09
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