仄か香り、人
水菜

仄か香に埋もれてしまいました
夢うつつのなかに
鬱々と引きずり込まれてしまいました
湯に足を取られたかのように
ゆるゆると絡め取られて
沈んだ湯のなかから、見上げたそらは
金の産毛 母さんの後ろ耳
たふたふと、柔い耳たぶ
沈んだ湯の底、ついた手元には、人外の
仄かに香る柔しい目じり
自立しきれん幼子は、
ほれ、我が夢うつつへ、引きずってやろうよと
ととろん ととろん
湯がこぼれ
金の産毛に手をのばし


自由詩 仄か香り、人 Copyright 水菜 2017-01-18 18:25:36
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