病巣
ひだかたけし
月見草
銀に揺れている
透明な水流になびき
引き寄せられ
傷んだ身体
俺は引きずっていく
引きずられていく
寒風吹き荒ぶなか
青、蒼、碧
陽光余りに眩しいこの真昼
俺のジガは弱り果て
腹底から突き上げ
皮膚を内から
引き裂こうとする、
不安恐怖 恐怖不安
剥き出し顕わ
シシシと笑う嘲笑う
己の喉ウゥと呻き
俺は苛立ち焦燥に駆られ
よろけゆらゆら歩み行く
立ち止まったら最後
を自覚しながら
ひたすら前進
脂汗のなか足運ぶ
消えはしない
肉の痛苦は軽減されても
決して消えない
この病巣、魂の深淵。