もみじの手
服部 剛

仕事を辞めてから
5才の周ちゃんと過ごす時間が増えた
染色体が一本多いゆえ
絵本を読んでも

 あーうー

歌を歌っても

 あーうー

だが時折、大きな黒目をぴくりとさせて
第六感で<何か>を感じているらしい

開き直ったパパは
がんがんろっくんろーるのCDを流し
小さな両手をつないで Dance Dance ♪♪
パパの大きな手の平から
楽しい波動は…伝わり
けたけたけたけた周ちゃんの喉から
鈴の笑いは鳴りだす

10分…20分…と踊るうちに
少々疲れた周ちゃんは
くにゃりと坐り
パパに凭れ
微かな鼾を始める

仕事が忙しすぎた頃はあり得なかった
小さないのちの体重を
あずけて
もみじの手をぴたり
パパのあぐらの足にのせて  









自由詩 もみじの手 Copyright 服部 剛 2017-01-13 22:18:34縦
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