君に贈る最後の詩
桜 歩美

お母さんは久しぶりに詩を綴っています
君へ愛の詩を久しぶりに綴っています
なぜかって?
幼い頃から綴ってきた詩を君がこれから読むよって
言ってくれたからです

愛の詩でも辛いことがあったことも
全部隠さずに綴ったお母さんの詩には
君に伝えきれない思いであふれているのです

この頃よく君が産まれた日のことを思い出す
小さかったんだよ
とっても小さくて心配して
生まれてすぐに熱を出して心配して
すごく育てるのが大変なほどに病弱で
泣きごとをたくさんつぶやきながら
君を育てました

いっぱい泣いて
君の笑顔や寝顔に励まされ癒され
余裕がない時に君が言うことを聞いてくれない時
強く叱りつけてしまったこともあった
お父さんがいつも家にいなくて
お母さんはいつも一人で
子育てがわからなくなることもたくさんあって
相談出来る人が誰もいなくて
つい君に強く叱ってしまうことがありました
叱ってしまった後にとても後悔して
号泣するのがお決まりでした

でもだんだん君も大きくなって
保育園を卒園して小学生になって
そして中学生になって
いつの間にか・・気がついたら高校生になりましたね

卒園、卒業のたびに
泣いても泣いても止まらない涙であふれました
君がこんな不甲斐ない母のもとでも
ちゃんと成長してくれていることに
涙があふれました

君はいつも優しく穏やかで
人のために何かが出来る子ですね
私が具合が悪い日には私の枕元に来て
「今日は起きなくても大丈夫だからね」と
朝ご飯を自分で用意して「行ってきます」と言って
鍵を閉めて学校へ行く優しい君

「大学へ行ってちゃんと就職して
お母さんのこと楽させてあげるね」って
昔のホームドラマのようなセリフを言う君
大丈夫
お母さんは自分のことは何とかなるので
どうか君が君自身がその努力で幸せになってください
お母さんは君が産まれてくれて
こうして大きくなってくれて
本当にそれだけで幸せな人生です
だからどうか君はお母さんの何倍も幸せになってください

君が幸せになってくれることが
お母さんの幸せです
いつもお母さんの身体のことを心配してくれて
ありがとう
お母さんが辛い時にいつも「どうしたの?」って
聞いてくれてありがとう
貴方のその優しさで
貴方の巡りあう誰かをどうぞ幸せにしてあげてください

どうか君がずっとずっと
幸せでありますように
母は永遠に祈り続けています

もう君に詩を綴ることはないかも知れないので
この詩のタイトルは
君に贈る最後の詩

愛しているよ
いつまでも


自由詩 君に贈る最後の詩 Copyright 桜 歩美 2017-01-12 15:37:40
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