冬の満月
蛾兆ボルカ

山中の夜道を抜けて
谷を越える長い橋を渡りながら
眼下遥かに見下ろすと、
河面に満月が映っている

皓皓と哭くように降る月光を怖れて
獣たちは木陰に身を潜め
水も澱み、何も動かない

私はふと、空の満月と河面の満月との
見かけの大きさがまったく同じであることに気づいて
ぞくっとした

巨大な顔が、
真横に首をかしげて
こちらを覗きこむ
その丸く白い
両目みたいだ




自由詩 冬の満月 Copyright 蛾兆ボルカ 2017-01-11 19:05:15
notebook Home 戻る  過去 未来