寂れた漁村
星丘涙

北風が吹き荒む漁村には
荒れ果てた番屋があり

やせ細った野良猫が
廃船の置かれた船着き場をうろつき

誰も泊まることのない民宿では
年金暮らしの老夫婦が
息子の帰省を待ちわびている

由美かおるが写る看板は
錆びつき剥がれ落ち
一軒だけ残る商店では
老婆が道楽で商売をしている

鉛色の空を映しだす海は
実に悲しげで
カモメが潮風に吹かれ
波間を飛び交っていた

誰もいない
ひとっこ一人
悲しい
寂しい
寂れた漁村の風景が
ここにある


自由詩 寂れた漁村 Copyright 星丘涙 2017-01-09 21:54:55
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