不器用な縫合
葉月 祐



痛む目頭を押さえ
溢れそうな感情を抑えている

救いは目に入らない
意識が捕らえたがるのは


  真面目に選ぶ事も無い悲しみや焦り


何故?
どうして、
繰り返される二つの言葉は
わたしを解放する気は無い

ほっといてよ、もう十分だから
意識に絡み付かないで
構わないで お願いだから


  乱れる呼吸の行く先は 深い洞穴のような    夜


狭い部屋を広く感じて 物に囲まれてもひとりきり
広い部屋にひとりで居るよりも孤独、病のような   孤独、


ひりつく両目を震える手で覆い
眠りたかった夜を見送る

  今日ザックリ切られたのは
  からだではなく     こ こ ろ     でした


その深手をうまく縫い合わせる術をわたしは知りません


どこから来たかも分からない切り裂き魔を
道連れにするように
眠りという死で この傷口をふさぐ


  時の糸で 静かに縫い合わせていった 感情の溢れ出る穴


ようやく安堵して
眠りたかった夜に 意識を沈めた

ところどころほつれている傷も やっと目を閉じた







自由詩 不器用な縫合 Copyright 葉月 祐 2017-01-04 17:04:37
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