からみあう手
田中修子

ずっとあなたを探していました
ながすぎるほどのときでした

目は赤く腫れあがり
世界に火を放ちたいほど呪詛吐いた
赤錆の匂いはつきまとい離れずに
そろそろ、いいか、とおもうころ

わたし
あなたを
さがしあててね
あなたのいるまちにきちゃったわ

なんもないというけれど
夜空に星はこんなに浮かんでいるね
数えきれないキラキラね
けれどいつか
ふたりおしまいまでにかわす口づけはね
天の星より
その瞬きよりたくさんなのよ
わたし
わかるの
なぜだか知ってる

月はこんなに静かにひかるの
北のまちのさらさら雪は
肺を澄ましてゆく静謐な真っ白で

わたしを飲みこみ
わたしが発した
恐ろしい炎の赤と
ゆるやかに混りあい

やわらかな金桃色の
あかるいあかるい夜明の東になった

それ、わたしの憧憬だった

しなやかに筋肉が熱を発す
あなたは人をこえた獣ね
心音に耳あてる
ちいさな真っ暗な寮の部屋でわたし
果てまでの夜明け瞼にまざまざ浮かんだ

わたしはあなたをさがしあてた
あなたもわたしをみつけてくれた

からみあう、手


自由詩 からみあう手 Copyright 田中修子 2016-12-31 02:27:20縦
notebook Home 戻る  過去 未来