クリスマス・ファンタジー
千波 一也
試してみたい嘘があるなら
今夜がチャンス
少しばかりの灯りを演出できたら
きみの孤独はそっと
消えるよ
◆
吐息が白いのは
きみのなかの火のせいで
きみが探し続けるかぎり
けっして消えない
まもりの火
探し物が何だろうと、ね
◆
なにか
失くした、と思うなら
空をごらん
失くした、のではなく
返したわけでは
ないのかい
◆
その
忘れっぽさに救われる人がいる
その
頼りなさに救われる人もいる
プラスマイナスなんて
結果論
そんな気がする
ホワイト・クリスマス
◆
嫌いなら
嫌いでいいから
ひと休みしようよ、しばしの間
信じられない気持ちも
逃げ出したい気持ちも
爆発しそうな気持ちも
ひと休みしようよ、しばしの間
◆
プレゼントは包み物
包み隠された物
見つけてほしい誰かさんが
一生懸命に黙りこくって
その解放を
待っている
◆
優しくなりたいなら
冬風に身を預ければいい
寒さに気づけたのなら
それだけで十分
きみは十分
優しいひとだから
だれかを守ってあげようね
◆
消せない夢は
イルミネーションの向こう、
星のかなた
まだ見える、という事実だけを
しずかに届けてくれる
自由詩
クリスマス・ファンタジー
Copyright
千波 一也
2016-12-25 23:17:14