クリスマス・ファンタジー
千波 一也



試してみたい嘘があるなら
今夜がチャンス

少しばかりの灯りを演出できたら
きみの孤独はそっと
消えるよ





吐息が白いのは
きみのなかの火のせいで

きみが探し続けるかぎり
けっして消えない
まもりの火

探し物が何だろうと、ね





なにか
失くした、と思うなら
空をごらん

失くした、のではなく
返したわけでは
ないのかい





その
忘れっぽさに救われる人がいる

その
頼りなさに救われる人もいる

プラスマイナスなんて
結果論

そんな気がする
ホワイト・クリスマス





嫌いなら
嫌いでいいから
ひと休みしようよ、しばしの間

信じられない気持ちも
逃げ出したい気持ちも
爆発しそうな気持ちも

ひと休みしようよ、しばしの間





プレゼントは包み物
包み隠された物

見つけてほしい誰かさんが
一生懸命に黙りこくって
その解放を
待っている





優しくなりたいなら
冬風に身を預ければいい

寒さに気づけたのなら
それだけで十分

きみは十分
優しいひとだから
だれかを守ってあげようね





消せない夢は
イルミネーションの向こう、
星のかなた

まだ見える、という事実だけを
しずかに届けてくれる










自由詩 クリスマス・ファンタジー Copyright 千波 一也 2016-12-25 23:17:14
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