待ち時間
藤鈴呼


こうやって 温いお湯だと
コーヒーは 上手く 染まらない

色合いだけならば 
完璧なのだけれども

どうも 味が
ついて 来ないのです

追う身だった 頃は 良かった

目の前に 
楽しい存在が ブラ下がっていて

そう 丁度

馬が 追い駆ける 
人参のような 存在

それは 風に揺れて 
色んな表情を 魅せて くれたし

眺めて居る だけでも
とても 愉しかった

今では とても 
グルメになって しまって

と言っても
世の中に 横行している 
グルメ雑誌や 番組のような
洒落っぷりは

何処にも 
見受けられないのだけれど


デキャンタ
そう 呼ぶ度に

ガラスの中で
何かが パキリ と 
音を 立てる


温い湯を 熱湯にするのは 
簡単で

熱い 祈りを捧げても
超能力者でも ないどころか

マジシャンの 心得もないので
恐らく 無理であろうが

美しい 銀色のヤカンに 温い湯を入れて
ほんの ちょっとの時間 コンロに置けば

それは 沸々と 
燃え上がるのです

我が 心のように 自由に 揺蕩う角度は
ちょっとばかり 恐ろしくも 有りますが

良いでしょう
次の 一杯が

飲み干すには 丁度良い 
温さに なるまで

温かな 机上で
ちょっとダケ 
放置 してみましょうよ

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自由詩 待ち時間 Copyright 藤鈴呼 2016-12-10 09:31:15
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