染み 
小林螢太

いつのまにか
ぼやけてしまった
染みが
もう存在が消えようとする、その瞬間に
ようやくこころの片隅に
いろを
発生させて
 
うまれるよ
うまれるよ、と
存在を主張し始める

(そんざいのいぎを
  
全自動洗濯機に任せっきりにして
放り込む、前に
染み抜きを忘れてしまった
からだ
 
まだ
まだ、と
そして、そのいろ

(まだ、みたことのない
 
消えかけたその染みは
忘れてほしくない、
だけ
なのだろうか
 
今頃
その価値を主張する
 
(いみはあるのか?

ここうと
れんたいを知った
今、だからこその
 
ぼやけて消えそうな
染みから
紡がれる、いろが少しひかり
透過、していて
 
(うまれたい
 
眩しくは、ないのだけれども
 




自由詩  染み  Copyright 小林螢太 2016-11-09 13:25:13
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