やせほそる銀色のおひめさま
田中修子

白い障子紙とおしてひかりチラチラ散らばって
立てなくなったばあちゃんをやさしく照らしてる

「食べとうない もう入らへんのや」
「そんなこといわんではよ食べて
愚痴いったらあかんよ
おかあさんにおこられるよ」
「食べとうない もう入らへんのや」

匙を口につっこむわたしのちいさなてのひらかじかんでいる

くつしたぬがせて足を洗う
灰色の目
ミドリのしみ、ムラサキに浮く静脈
すこし におう体

真っ白な髪だけがとてもきれいだ
障子紙からのひかりに銀色に光っていておひめさまみたい

小学生のわたしはお盆をさげたあと台所で歯を食いしばってうずくまる

暖房のきいた応接間で
おかあさんと おとうさんが
けらけらわらっているのがずっととおかった


自由詩 やせほそる銀色のおひめさま Copyright 田中修子 2016-11-05 20:48:42縦
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