スローハロウィン・ローハロウィン
ゴースト(無月野青馬)

秋になると
書きたいことが増えてくるんじゃなくて
秋にならないと
書けないことがある


季節は巡り
太陽も巡る
軌道を変えながらでも
巡ることは止まない


カボチャにつきものの話でもあるのか?
「私」は考えている
季節は巡り
ハロウィンも巡る


カボチャは盗まれたり
被られたりしながら
それでも
実りは止まない


蝋燭の灯が
揺れているから
ランタンの瞳も
揺らめいている


べつに泣いていないのに
まるで泣いているみたいに
揺らめいて見える


秋になると
書きたいことが増えるんじゃなくて
秋にならないと
書けないことがある


カボチャの馬車には
何の意味もなくて
マジックにも
何の意味もなくて
キャンディがあっても
何の意味もなくて
ガイコツと蝋人形があるだけで良いと「私」は思ってしまう
(火の玉が飛んでいたならなおさら良い)


「私」は思ってしまう
カボチャを被っても
カボチャの匂いしかしないと
被ってみたくなっても「私」は被らないと


それで何かが変わるわけじゃない
何も変わらないカボチャを被っても
何も変わらない呪文を唱えても
何も変わらない秋空が見えても
と「私」は思ってしまう


スローなハロウィン
ローなハロウィン
季節は巡って
太陽は巡って
軌道を変えながら巡って
「私」は仕方なく巡って
軌道を変えながら巡って


ぐしゃぐしゃになっても
カボチャは被らない
カボチャを被っても
カボチャの匂いしかしないし
何も変わらない
ぐしゃぐしゃになっても
カボチャは被らない
ガイコツと蝋人形があるだけで良いと「私」は思ってしまう
(火の玉が飛んでいたならなおさら良い)


だから
「私」のハロウィンは
スローでローなハロウィン
スローでローなハロウィン
スローでローなハロウィン
でも
楽しくないわけじゃない
楽しめないわけじゃない




自由詩 スローハロウィン・ローハロウィン Copyright ゴースト(無月野青馬) 2016-10-28 21:27:06
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