大田区というひとつの完結した世界があり
松岡宮

水は優しき 大田区
空の広き 大田区
母なる大田区と ひとがいう
足元に絡みあう夏草の思惑

大田区に住んで しばらくして気づいたこと

・・・絡み合っている糸がある・・・
・・・見られている 視線がある・・・

あなた 誰? どこから来たの? 誰の紹介で なぜここにいるの?

風船の糸を握る めざとくて優しい手のこと
一匹狼はすぐにご飯を与えられどこかに所属せざるをえない大田区よ
落下傘は暖かく出迎えられてすばやく誰かの陣営に入らされる大田区よ
長生きのかあさんが今日は駅前で見慣れない人を見たと夕食時に報告する
大田区よ

大田区というひとつの完結した世界があり
水は優しき 空の広き
美味しい空気が味わえて 伸びたい草は夏ざかり
神奈川を見るな!
品川を見るな!
世田谷を見るな!
太平洋を見るな!
ただ 大田区内だけを見ていなさい

草は足首に絡まり 風はほほに忠告をする

たいくつの暇がないほど会合好きな同業者たち
知り合いの知り合いはもう知り合いな大田区
思惑の風船はぶつかりあって 仲よくなって 握手して

・・・どうして 仲よくなろうとするの?
自由な風船はもうひとりぼっちではいられない

「あなたはここで生き ここで認められ ここで一生を終えるのだ」
「路上駐輪を許さぬ目 みんなの目」

もう大田区を出られない
出るときは全てを棄てるとき
もう大田区を出られない

みんなともだち
みんなきょうだい
みんなかぞく
みんななかよし

優しい仲間に囲まれて ときどき 自由な空を 恋しがる

https://youtu.be/8hc_lNFxyZ8


自由詩 大田区というひとつの完結した世界があり Copyright 松岡宮 2016-10-26 10:53:06
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