花火と恋と生と死を
藤沢




花火と恋と生と死を
一つのものとして例えるあいつのこと忘れたわけじゃないよ。
ただ、もう、そこにはいないし
いや、もともとあいつはここに相応しくなかった。

古びた喫茶店で
生と死について語るあいつは
いったい何度屋上から飛び降りたのだろう。

自慰行為の話はしてくれたじゃん。
恥ずかしげもなかったじゃん。
自傷行為が気持ちいいって
もしあの時教えてくれてたら
私はあなたをもう少し愛せたのか。

かすり傷一つじゃ死なないからって
猫に引っ掻かれた腕にゆっくりと触れた。


光って
落ちて
消えて
天や地に還って
魂は誰かの心の中で研ぎ澄まされてる。



初恋のあいつが私に浴びせた罵倒と
中学生の時に見た映画のフレーズを
座右の銘にして生きていく。
量産型のアイデンティティを胸に
今日も名札を着けて
大勢の中の一人として生きていく。






自由詩 花火と恋と生と死を Copyright 藤沢 2016-10-19 23:37:39
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