寂しい嵐
ゴースト(無月野青馬)

寂しい嵐が吹き荒れた
ごぅごぅと吹き荒れた
樹木は根こそぎ吹き飛んだ
樹木は根こそぎ吹き飛んだ


暴風に巻き上げられる木々
りんごのような実を落とす
まだ成熟してしない実を
りんごのような実を落とす


抉れる地面
棚引く事物
箒、塵取り用をなさぬ
激烈な時


嵐野の闇夜を行く
森を木々を守るため
若い樹木を守るため
彼等の元へひた走る


けれど
一向に近付けない
まるで目に見えないブロックが
行く手を遮っているかのように
反射しているかのように


森の木々は決壊に
巻き込まれて実を失う
若い樹木も結界に
巻き込まれて吹き飛んだ


寂しい嵐が吹き荒れた
森は神秘を失った
木々は真皮を失った
剥げてバラけて転がった
山火事の跡のようになった



自由詩 寂しい嵐 Copyright ゴースト(無月野青馬) 2016-10-19 02:34:12
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