朱鷺が咲く
藤鈴呼


ぷかぷかと 心地よさそうに浮かぶ オレンジ色の果実で
今日が 冬至だと 思い出した

はしゃぐ 子供達
横目で 眺めているのが 分かるけれど
こちらは 痛みと 格闘している 最中だから
無碍にも 出来ない
相手を する気も ない
そのくらいの 空気感

奥まった位置で ひっそりと 鼻を近づける
御婦人 貴女の集う 台所に
いつもある アレでは ないのですね

スーパーでは ゆずコーナー
「今日 売り切らないと 潰される運命ですから 勿体ない」
とでも 言うかのような 叩き売り状態

実際に 長細い棒で 叩く仕草ばかりがオツなオッサンは
移動中

突然の雪で スコップを探している 最中なのです
などと 言う

みっともない
痛みなどない

笑顔しか知らぬ 若い唇が にやりと動く度
本気で 叩きたい衝動に 駆られますが 大丈夫
ここは 大分大きな浮力が 働いていますので
よもやかたたたかまじとは思いますけれども
そんな 突然の アクシデントにも
対応 可能なのです 

そう 呟くかのような 角度に
翼が ゆっくりと 広がる

飛沫を 上げて
タイヤが 行き過ぎる 角度で
全てを みつめているかのように

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自由詩 朱鷺が咲く Copyright 藤鈴呼 2016-10-03 20:49:45
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