ふーせんと青空
水宮うみ


わたしはふーせんだ。
ちっちゃなこどもに捕まえられている。
わたしがその子に「自由になりたい!」と言うと、「わかった」とその子は手を離した。
わたしはどこまでも飛んでいった。
その子が泣いているのが見えた。「ふーせん、とんでっちゃった」
自由になったわたしは、空から見た地上の美しさを知った。けれどひとりぼっちだ。
その子にまた会いたくなった。けれどもう会えない。わたしはパチンとはじけて消えた。
その子はずっと青空をみていた。言葉にできない感情を持って、みていた。
そのあとふつーに家族とお弁当を食べた。嫌いなものは食べず、好きなものだけ食べた。


自由詩 ふーせんと青空 Copyright 水宮うみ 2016-09-07 08:35:58
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