祈り
AquArium
ーあなたとのことを書くのはこれが初めてです
わたしを汚くて醜い世界から
引きずり出してくれたあなたは
わたしよりも随分若くて
素直さが眩しくて直視できなかった
わたしには綺麗すぎると
見て見ぬフリをしようとしたけど
あなたはずっと強い力で
わたしの身体を離さなかった
(実を言うと生ぬるい恋愛は楽でした
叶わないことも報われないことも
当たり前に転がって
歯がゆさにも慣れていたのに)
.
たくさんの悲しみを
あなたは食べてくれた
あたらしい世界を
あなたは見せてくれた
慣れるということは恐ろしくて
あなたが背伸びをしていたことに
わたしは気づけないほど
ふたりの世界は狭かった
愛のかたちに正しさも間違いもないけれど
明らかにいびつな空間で
わたしたちは
手をとりあって泣いていた
ほんとう、を
見つめる余裕もないくらい
方向の違う愛を押しつけあう
苦しさこそ愛だと自傷行為を繰り返した2人は
やがて
ほんとう、を
見極める目も耳も心も失った
別れを決意したあなたのなみだ
.
.
お互い少しだけ休むことにした
失った大切なものを取り戻すために
ほんとう、は何かを知るために
あなたの提案した時間は
わたしには十分すぎるほど長くて
朝と夜が通り過ぎるたびに
あなたを忘れるのが怖くて
何度もあなたを描いた
.
.
.
時が流れる
空白の夏が終わる
再会までもう少し
どうか
どうか
やさしくあなたと過ごせますように
次の季節を一緒に歩めますように
ほんとうに大切なあなたとのことを初めて書きました。
自由詩
祈り
Copyright
AquArium
2016-09-04 21:10:11