音花火
田中修子

とおくに花火の音が聞こえる
あの音のしたで
女の子や男の子が
恋をしているのかな。

大人たちは浴衣をきて
すこうしかっこうつけて
林檎飴をかじりながら
いろっぽく駆け引きなんかしちゃってるにちがいない。

近くの家ではおばあちゃんが
亡くした連れ合いのことを思い出し
うちわをあおぎながら
とろとろと微睡んでいるのかもしれないね。

見えない花火の夜が
わたしのなかで
鮮やかに金色に
消えては咲いて、いつまでもまばゆくって。


自由詩 音花火 Copyright 田中修子 2016-07-11 06:29:52
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