小さな扉
小川麻由美

どんな噂をたてられようが
雨は お構いなし
降る時は降る 
降らない時は降らない

誰ともひっつきたがる酸素は
水素に恋をし 焦がれて
この地球を覆っているのか
酸素と水素の出会いは恋物語

焦燥感と言われれば
私はそれを否定できない
むしろ肯定するかもしれない
この世にもっと秩序があれば
水の恋物語のように

しかしながら出会ってしまった
私はあなたと出会ってしまった
これは幸福なのか不幸なのか
かいもく見当もつかない
こうべを垂れてみる

快楽に邁進できない弱さ
不幸だと言えない見栄
怖いと言えない小さな口
孤独だと叫べない閉じた扉

どんな噂をたてられようが
雨は お構いなし
降る時は降る
降らない時は降らない

あんな噂をたてられたら
私は 動揺する
怒る時は怒る
おびえる時はおびえる

小さな小さな小さな
私の閉じた扉からは
孤独だと叫べない
魂の合戦が常にある


自由詩 小さな扉 Copyright 小川麻由美 2016-06-21 19:54:38
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