一日中雨の日にバイクが過ぎる(ゴル投稿長考版)
高橋良幸

寛解、というのだろうか
表面が四方に向かってひかっているさまを見ろよ
アスファルトの単位、瀝青のかどを水滴が打って
二次元の広がりを持つ表面を
雑音には継ぎ目がない
日常に継ぎ目がないほどに
雑音には区切りがない
惰性に区切りがないほどに
出掛ける支度を渋っているうちに
タイミングを逃してしまう、きっと
急ぐなら
うす暗い部屋にあかりをつけて

水たまりが深くなる、
水紋の重なりが千々になるほど
見合わせた顔に潜んだ隠しきれないものを
わずかに緩んでゆく口元を見い出しやすくなる
億劫さの中にある異質なもの
暗がりに並べられたそれらを頼りに
玄関戸でくぐもっていた世界を開ける
大ぶりの傘と
濡れてもいい靴と
あまり濡らしたくないかばんと
打ち付けられる私たち
雨音は硬質なウィンドスクリーンとなり、駆けていく
透明なナックルカバーとなって
継ぎ目なく街の向こうに
駆けていく


自由詩 一日中雨の日にバイクが過ぎる(ゴル投稿長考版) Copyright 高橋良幸 2016-05-28 19:14:49
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