自由で満たされたプール
水宮うみ

地雷原という安全地帯でトイレットペーパーを思いっきり転がそうぜ
ドアなんてこの世に存在しないのだから
自由には白い翼がびっしり生えている
おとなになるってことは気が狂うってことで
こどものままで居続けても気が狂うのは僕ではない
非実在あなたは8月のプールの笑い声のなかで飛距離恋愛中だ
プールのなかに雨水が混ざっていくのは笑い声にとってとても悲しいことだ 僕だって悲しい 一瞬だけ笑い声は笑うけどね
それは夏にときめくこどもたちにとってなにかの終わりを告げる自然現象だ みんな自然現象になりたい 母なる大地は青い地雷原
みんなが何なのか分からない あなたが誰なのかも分からないのは僕がおとなになってしまったからだ
部屋の隅でうずくまっていれば十万年前の未来に行けたのならどんなに幸福なこどもだったのかなんてさ 思うだけで非日常に住めるんだ
自由がないからどこへだって行ける
翼が生えていないから飛行機雲をみれたのさ


自由詩 自由で満たされたプール Copyright 水宮うみ 2016-03-19 19:40:15
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