ホワイトホールの黒い鳥
馬野ミキ

怖い
社会が怖い
なんかすげー怖い

家をでるときドキドキするのでもう一回おしっこにいく
玄関の扉を開けるとき、不安になり尿漏れする
外にキチガイが居て明日殺されるかも知れない
日付が変わった瞬間に
或いはカラスが飛び込んできて俺の目を刺すかもしれない
カラスは知的だという
俺たちは自分たちの知的さ加減の範疇にはいるものだけを知的だと認めるので
誰かがあの人はセンスがあるとツイッターでつぶやいたり
あの人は粗暴だけど実は愛があると思い出横丁で言うことを若干シラケてみたりする

だが基本的にはこれらは蟻の妄想であり
99,99%
俺は起こりえないことに怯えてた
なぜならキチガイもカラスもアリクイもまた俺に怯えたからである

俺は扉の鍵を閉めるとき いつも緊張している
なぜなら鍵穴にうまく、鍵を挿さなくてはならないからだ
鍵穴に上手く鍵をさせない人間は馬鹿にされて生きることになる
そんな人間は社会では通用しない 
ビジネスは厳しいものだ
自分で自分の部屋の鍵を閉められない人間はそっと捨てられる
そっと捨てられるところが人権なのである
ビジネスとは厳しいものだ

鍵穴に鍵を入れることにいちいち緊張している人間は
あなたはセックスが下手ねと言われるだろう
どれがちんこでどれがマンコなのかがわからない人間は永遠にセックスできない

いつか女は男を見下したが
男はそれよりはやく女を見下した
そして別々の部屋でアニメをみて
sftbankやauのCMの続編を楽しみにしてた
つーか、日本人の1/3は離婚しているようであるので
親が別れても子供たちが幸福になる制度を作りたいと思う

まともに扉に鍵をさせない人間は痙攣しているので監視カメラに録画される
それらはフォロワーたちにより共有され名前をつけて保存される
そうしてわたしが地域社会で馬鹿にされることになると
俺の息子は学校でいじめにあうだろう
あの無邪気なかわいい人が集団でいためつけられる
息子の貯金箱からお金をくすねている父親を、上目遣いで信じているかわいい人が集団の一致で殺される

















ああ 一体何回殺されれば
みんなは許してくれるんだろう
























家を出ると緊張してエレベーターで違う階を押してしまう
何階に何があるのかがわからないので着いたところで降りてしまう
着いたところに降りるというスマートさを身に着けたくて毛穴から汗が出てしまう
なぜなら着いたのに降りない人は、スタートとゴールをわかっていないと思われるからである
そのような分別が必要である
分別というのものにより誰もが宇宙の全体像を捉えられないのだとしても・・


廊下ですれ違った知らない人に「ここも銀河ですか?」と尋ねると
その人が隠し持っていたハンマーで前歯を折られたので萎縮して部屋に帰った

しばらくしてから、隣人にハンマーで前歯を折られたと交番にに行くと
あなたのほうが怪しいと言われ逮捕された
服を着ていなかったからである。









自由詩 ホワイトホールの黒い鳥 Copyright 馬野ミキ 2016-01-27 13:57:25
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