異国の夢   
服部 剛

オランダのチューリップ畑のほとり
浅い川は緩やかに流れて
カーブを描く辺りに
一人の風車は立ち

やがて赤と黄色の無数のつぼみ
過ぎゆく風に身を傾げ
遠い風車の巨きな十字は
音も無く…回り始める。

――僕は、風車になりたいなぁ…
――なれるわよ、あなたなら
――一体どうすればなれるかなぁ…

――空から、川から、花の蕾から
  大気に降りそそぐあの風を、吸う時
  あなたはあなたに、なるでしょう

傍らに現れた
天使の面影は ふっ と消えた。


目が覚めた、朝の部屋。
窓を透ける、仄かな日射し。

――青い硝子ガラス戸が一瞬かたり、と揺れた。  






自由詩 異国の夢    Copyright 服部 剛 2016-01-12 22:11:36
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