手を添える
服部 剛

法事の後に、故人を偲び
「献杯」してから口に注いだ麦酒ビールにより
みるみる僕の顔は真っ赤になり
吐き気をもよおし
頭痛の額に少々冷えた、手を添える。

そうして僕は平手で
白いシャツに覆われた(体)の隅々を
さする…

――日頃こんなにも頑張っていた、疲れてた
  (きみ)を忘れて、ごめんね。

この(体)をさすりながら…僕は気づいた。
(体)をいたわることは 
世界にひとりの
愛しい自分を、労るということ。  






自由詩 手を添える Copyright 服部 剛 2016-01-11 20:21:20
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