こんぺいとうの秘密
あおば

               151219

金平糖と言えば、過労詩の世界の住人だねえ
詩なんて言葉を詩に記せば白けるということぐらいは
ご存じでしょう
無彩色透明のシロップを掛けて何十時間もお釜の中で転がして
あの白い角が成長することぐらい詩を書かれる方はご存じでしょう
ぐるぐると24時間以上こき使われて過労色ともいえる白い金平糖ができあがる
なんとも残酷で無慈悲なことでありましょう
食べるときは何粒もゴクリとかみ砕きその歯触り甘みを楽しんでいる
まことにリッチな連中のもとに拉致されたなぁと
私の仲間の金平糖は愚痴を言う
大阪のおばちゃんだったらなんというだろう
そんなこと考えながら
12月19日(土)の日程をもう一度確認する
暮らしを守るためには金平糖如きの不平は
誰も聞く耳を持たない現在
立候補して金平党の勢力を拡げ
金平糖革命を成し遂げるのだと
妄想を抱く君は時代遅れの理想を語る
ここまでのところは序詞として
いよいよ本題に掛かるが
その前に一眠りしなければ身体が持たないと
言ってはならぬことを口走る君は金平糖には
けっして成れない甘味が足りないメープルシロップのような
そういえば桑の葉を食うと太らないということを知った君の
仲間たちが
どんなに食べても太らない金平糖を試作しているのを
知っているかい
桑の葉からシロップを抽出するのが難しいとあるひとは言う
カイコの助けを借りたい気分になるとも言う
衣擦れの音にも似た何かが摩耗する音がして
とうとう釜を回転するモーターが過熱して
断線してしまったようだ
今時、使われていないモーターだから
修理は難しい
新しい釜を製造されてはと
一兆2千億の予算を提示され
都民は驚いている
森は林は神聖な場所だから
オリンピックに相応しい
そのくらいの予算は君たちが
すこし働けば済むだろう
金平糖の親分は甘すぎる
棊子麺を啜りながら
名古屋の人たちは
大まじめに仕事を開始する
自転車に乗った猫が
金平糖を踏みつぶしてゆく朝は
気持ちが良いなぁと呟く君のお財布は
ワンコインを残して空になっている
それを知りながら融資するお人も居て
世間は広いものと何も知らない作者が
金平糖の製造所を訪れた年も暮れる。



初出「即興ゴルコンダ(仮)」
  http://golconda.bbs.fc2.com/
  タイトルは、山田せばすちゃん



自由詩 こんぺいとうの秘密 Copyright あおば 2015-12-19 09:48:02
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