赤い糸―結婚の祝辞―
服部 剛

どっかーん…!

太陽の砕けた花火の如く 
あの日、きみと出逢った歌舞伎町の夜。

厚化粧のきみは
難聴のハンディをもろともせず
くらしっくをBGMにくるくる
地下の舞台で乱舞しながら
体から発光する
熱い、熱い、生への衝動。

ある日のイベントで見かけた
きみの傍らに
ぴゅあでしゃいな女の子が
ずーっと俯いていたけれど
きみが活躍するにつれ
丸い瞳の女の子の顔は段々とあがり…

これからもきみの存在は
詩友の僕と、嫁さんと、ダウン症児の
息子の間にも、太陽として
めらめら昇り
僕等の日々を、俯く人々の影を
ぱあっと日向に変えるだろう。

新たなる門出の向こうに、僕は視る。
今日から旅を始める
ふたりの間を仄かに結ぶ、赤い糸を。

覚束なく、何処までも
未知なる物語の日々へ連なってゆく
二人三脚の足跡を。  






自由詩 赤い糸―結婚の祝辞― Copyright 服部 剛 2015-12-13 00:41:41縦
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