秋の運動会
服部 剛
万国旗は青い風にはたはた…揺れ
園児等が駆け回り、賑わう
秋の運動会。
染色体が人より一本多く
まだ歩かない周と、並んで坐る
パパの胸中を
過
(
よ
)
ぎる、問い。
――僕等はあわれまれる、家族であるか?
『親子で一緒に徒競走』の種目となり
白線の前に並んでいたが
いざ、スタートの時間には
すやすや、周は夢を見て
ぶらーん、ぶらーん、と人形みたいに
ぶら下げながら、パパはおどけて走るのだ。
眠り続ける周を、妻の
腕
(
かいな
)
にあずけ
「綱引きに参加してください」のアナウンスに
腕を
捲
(
まく
)
ったパパは先頭に立ち
よいしょ、よいしょ!で勝つと同時に
見知らぬ周囲のパパ達と、ハイタッチ。
額の汗を…拭いつつ
ママに抱かれた周のもとへ
まっすぐ――戻るパパに気づいて
目覚めた周が
すろーもーしょんで
笑顔を開いた
自由詩
秋の運動会
Copyright
服部 剛
2015-11-03 22:43:55
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