SOUND ONLY-灰色の使徒-
ゴースト(無月野青馬)

すべては過ぎ去り
竜をも見た、あれは、あまりにも巨大だ
濁流を
誰が止められるのか
か細い腕を目一杯伸ばして
手乗り文鳥のケージを守ろうとしても
戻らない時、守れない1羽
輪が空中に浮かんでいるのに、如何なる障壁も本来的にはないんだと
灰色の使徒のサウンドオンリーは言うけれど
どこに勝機があるのだろう
海を呑み込める怪物に勝てるヤツなんていないだろうに
ニーソ履いた少女が
がなりながら突っ込んで行く
雲間から覗いたら少女は眼帯をしていて
デリケートそうなのに
ニヒルな感じではないよ
妖怪でもないね
ネットだけが希望ってタイプでもなさそうでね
粘土をいいものだと語り合えそうだったよ
夜が来る
ルームメイトのいない教室
ついに、6日間の立ちん坊とさらば
場所が場所だった
啄木が置いてあった物置
キーボード立て置き
昨日から、

“僕たちは、全てが終わるべくして終わるんだと知る”“でも僕たちはひたすらに生き続けたかったのだ”“世界を終わらせたくなかったのだ”

だって、7日目があるって信じたいだろう
海、水、図形、錨、料理、利発、机、演奏、浮かびません
嗚呼、こんな1人プレイ
意気地なく弱気になる
ルームメイト見付からない
意気地なしはどうしたらいいのか
架空の使徒のサウンドに訊いてどうなるわけじゃないけれど、みんな、生きていたいんだ、切実に生き続けたいんだ、それだけなんだ
桜が満開になって
人は消えて行くよ
僕もそうだ
すべては過ぎ去り
竜をも見た
あれは、あまりにも巨大だ




自由詩 SOUND ONLY-灰色の使徒- Copyright ゴースト(無月野青馬) 2015-09-27 17:50:37
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