ベテルギウスは突然に
佐々宝砂

彼岸前に咲いた彼岸花
十日も早くやってしまった敬老の日
もう動いてない扇風機
時が早く行き過ぎるように思うのは
忙しいからでも年をとったからでもなくて
たぶん

昨日の空と
今日の空に
違いがないのだと感じてしまう病のせいで

昼の空は知らんが
夜の空はめぐる
いまは天頂に白鳥座
朝を待たずに
ベテルギウスがその赤い顔を見せるだろう

昨年の夏と
今年の夏と
来年の夏に
違いがないわけがない

来年の夏
明け方の空で
ベテルギウスは突然に
ということがないとは誰にも言えない

恐怖の大王が支配しなくても
アンゴルモアの大王が降りてこなくても

静寂にほど遠く
イキモノたちが騒ぐ夜の庭で
空を見上げる
首が痛くなるほど空を見上げる

突然に
ベテルギウスは突然に
こころに満ちて爆発する


自由詩 ベテルギウスは突然に Copyright 佐々宝砂 2015-09-15 01:19:53
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