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外はあいにくの雨模様
遠くの空が見えなくて
きのうお祈りしたのに、神様
小雨だから許してあげる
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ふと口にしたことばが引っかかって、本当か確かめて笑ってみたけど
突然、宿を取ったと連絡がきたときは、すこし怖さすらあったんだ。
行く先も分からないまま
会えるというカウントダウンを始めてみる。
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わざわざ家まで迎えに来た理由
スーツを着替えたかったこと
ここは現実と夢の分岐点
本当は出張なんかじゃない
どこまでも空は重くて
新調したツバ広帽の出番はない
そんなことも知らずに
あなたはミスチルの鼻歌を歌う
目的地が決まっているということは
ときに残酷だと知る
安心と寂しさが交差して
もはや宙に浮いてしまいそうな昼下がり
靄なのか湯けむりなのか
たまに未来のようにも、思えた
カーナビの表示は物寂しくなり
空気がすこしだけ冷たくなる
-----強羅って強そうな名前ですね。
そうだな
由来なんだろう?
調べてみて-----
檜の匂いで包まれた今宵の宿
池の水が流れる
すこし早い鈴虫の声
あなた、わたし
水色とピンクの浴衣
おとことおんなを
感じることが果たして正しいのか
分からないふりをしたままでいよう
バルコニーのデッキチェアで
乾杯をしてから
神妙な顔つきでつぶやいた
ただ黙って頷くだけで十分だったのだろうか
お湯の中で触れる背中が
いつもより大きい
赤みがかった頰にふやけた指先
静かに目を瞑る
-----ボーっとしていたいな。
そうですね。
気持ちいいな?
うん-----
いつもより少しだけ強めに圧力のかかる上半身
できれば見えないままでいたいわたし、明るい照明を好むあなた
おなじ匂いのする髪
この世界がもし、ただひとりしか映らないとすれば
誰の悲しみも怒りも生まれないのに
いつだってここには、新しい命を宿さないための儀式があって
静寂が通り過ぎる、何度も通り過ぎる
湿っぽい空気が交じり合う瞬間
わたしたちは一瞬だけ、世界に赦される気がしている
熱を帯びてどうしようもないあなたを遠くから見ているわたし
それが唯一の正しさで、わたしの中を泳げるあなたの細胞はない
これまでも、これからも、きっと、ずっと
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小さく息を吐き
落ちてきた汗の粒
瞼の上で溶けてわたしの涙みたいだった
深夜2時ごろのこと
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朝日
夕暮れ
夜明け
一緒に迎えられた尊い夏
あなたも
どうか忘れないで、神様