止み色
藤鈴呼


あなただけに告げる「ワタクシの秘密」と言う台詞が
どうも くすぐったくって 仕方が無いのです

地図に無い場所を求めて 彷徨う旅人だとか
誰も受信できぬ電波を 感じる肌が

むず痒くて 痛痒くって
血が出るまで かきむしって しまうから

特別感を 抱きしめたかったのならば
波間で漂う 海豚に委ねるのも イイ

そんな経験をしたことは 一度も無いのだけれど
きっと最高 出来レースだったって イイ

幻の「なんとか」を 追い駆け続けるよりは
ずっと もっと そっと
現実的な気が するのです

それでも 未来の耀さには 抗えず
トンネルの中で 縮こまった憶えなんて無いのに
必死でオールを探す

未だか
闇は 抜けないか

幾つもの絵具を 掻き合わせ
乱された 心の行方など

まるで なかったかのように
止み色に 塗りたくる

その上で いつかの旅人が落とした水筒から
真っ黒になった水滴を 三粒 
注ぐ

そうしたら 次の夜あたりに
夢の中で
あなたに
会えるような
そんな 気がしてね

どんな 調味料を 混ぜたって 
出来上がらないような
とっときの スープを作って
待って いるから

どうか 笑顔を 見せてね

ああ やっぱり あたし
あなたに
あいたい みたいだ

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自由詩 止み色 Copyright 藤鈴呼 2015-09-03 00:53:41
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