夏の朝
藤山 誠

喉がぴったりと張り付いている
水を飲んで 目を覚ます
クーラーの音が なっている
陽光はもう 部屋の隅に
居座っては 目に刺さる

洗面所は茹で上がっている
じっとりと 重いシャツ
食べる気のない 朝ごはん
薄暗い 蛍光灯に
薄暗い 鏡の顔

カーテンの隙間から外を伺う
朝露は乾き 道白く
夜の闇は かけらもなく
風が止み 密度増え
匂い立つ 深緑

秋になって
茶色になって
皆死にゆくのに
玄関を 開けて蝉


自由詩 夏の朝 Copyright 藤山 誠 2015-08-22 17:42:51
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