ツタヤにて
馬野ミキ

昼過ぎに悪夢にうなされて目覚めた
つけっぱなしのクーラーでのどを痛めていた
そのままソファに寝転がりテレビを見ていた
テレビに文句をつけながらチャンネルを変えていく
まるでパソコンの前に座ることさえ面倒くさいではないか
甲子園の鳥取城北は二回戦からの登場で初戦は山形の鶴岡東に決まった
これはおいしい相手だ
相手もそう思っているだろうが・・
少し印税が入ったのでコンビニで公共料金を払い
あまりに暇なので自転車でツタヤに行った
何かホラーと、アダルトビデオでも借りてみようかしら
段差の激しいバス通りを避け裏道を走る
モスバーガーの角を左に折れる
モスバーガーを食べることさえ困難になってしまった
前歯がぐらついている
早く抜ければいいのだが
監視員がいないかどうか様子を見て自転車を止める
しかし旧作はラインナップが悪い
仕方なく準新作から選ぶ
これはそんなに新しくないはずだが・・
アダルトコーナーにいる時に女子店員が来た
どんな気持ちで彼女はこの仕事をしているのだろうか
女子店員が棚に戻したDVDを血気迫る感じで素早く取り出してみた
女子店員は「ひっ」と言って俺の顔を見て「失礼しました」といいどこかへ消えてしまった
俺はそのDVDを棚に戻し他の作品を借りた
レジに行くとTカードが期限切れで使えませんと言われた
俺はレイプという作品を手に持ちながら更新しますと言った
それから身分証明書はお持ちですか?と店員に言われた
俺がここにいることが最高の証明ではないか
俺は店員の胸ポケットからサインペンを取りカウンターに自分の名前を書いた
自分の名前の横にレイプを起き、家に帰った。


自由詩 ツタヤにて Copyright 馬野ミキ 2015-08-04 21:25:43
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