僕の本気
チャオ

たどり着くことの出来ない場所。
そこへ向かおうとしても、そこへ向かって走り出しても、たどり着くことの出来ない場所。その場所に本当の自分がいると感じる。

「まだ本気なんかじゃないさ」
と僕はよく言う。確かに本気じゃない。けど、僕は自分の本気を出すことが出来ない。誰だって一緒だ。本当の瞬間。しぬほど怖い瞬間。その瞬間を越えたときにしか僕は、本物の僕になれない。そのときだけ、僕は本気の僕を見る。

もしかしたら、負けるのがしぬほど怖いのかもしれない。本当の自分が負けるってことは、どうあがいても負けることなのだから。それでも、戦う意志を持った瞬間だけ。そのときだけ、僕は僕の本気を見ることが出来る。

何かを精一杯大きな声で叫ぶこと。いま、その場所で好きなもの、好きなこと、好きな人を呼べるだろうか。もしその場所で、いま、この瞬間に呼べることが出来たなら、それこそ、勇気かもしれない。
そんなことに何の意味もない。わかっている。でも、きっとそうなのだ。だからといって、ただ避け分とはまた違う。本気の声で叫ぶ声は、おおごえとはちがうのだ。自分の力の限りの声で、叫ぶことなのだから。

つまり、僕は、次の一瞬も、次の一瞬もいつだって、僕に負けているのかもしれない。でも、ある一瞬だけ、勝つことができたなら、それだけでもいいと思う。

本当の瞬間はいつも、しぬほど怖いものだから、逃げ出したくなったときも、いままで何度でもあった。
                     ブルーハーツ  終わらない歌

逃げ出したいと思っても、逃げ出さないことが勇気だ。怖さを感じないことは勇気なんかじゃない。何も出来ないでいるって感じている僕のそのフラストレーションを、すべて拾い集めて乗り越えなければいけない瞬間が必ず一度や二度はある。
「いままでいくつかの悲しいことを解決しながら乗り越えてきた」僕たちの人生。

君は僕の姿を見間違っている。僕はまだ本気なんかじゃない。

そんなせりふを吐くのもいいだろう。ジュリアロバーツはオーディションで嘘をついて合格してから、その嘘を真実に変えたらしい。僕の本気。そうやって、追い込み続ければいい。でも、そこから逃げちゃそれでお終いだ。逃げない!僕はその言葉と戦うのだ。

僕の本気。



未詩・独白 僕の本気 Copyright チャオ 2005-02-12 01:52:34
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