石を打つ
服部 剛

囲碁には(天元)の一手があるという。

運命の場所をそっと探るように
シナリオの無い未来を読むように
白と黒の石は…互いに音を立て
碁盤の升目を、埋めてゆく。

――碁石とは、天の星々のようですなぁ
――ならば、娑婆しゃばに置かれた人間達とも…
――言えますねぇ

この世がもしも
碁盤の世界であるならば
勝負を分ける(天元)に、音の立つ
あの瞬間を求め

私はつまんだ碁石を、宙に上げる。  






自由詩 石を打つ Copyright 服部 剛 2015-05-19 19:19:55縦
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