夕餉の匂い
服部 剛
横浜・野毛の老舗「村田屋」の座敷にて
鰯丼の傍らに、置いた
味噌汁の真ん中に
豆腐がひとつ、浮いている
(天井のらんぷを、小さく映し)
澱んだ味噌汁の、只中に
くっきりと、立体的に、艶やかな
豆腐の白い存在感に――目を凝らせば
お椀の内から
ゆらゆら湯気は…立ち昇る
自由詩
夕餉の匂い
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服部 剛
2015-04-05 21:13:49縦