黒い鼻
服部 剛

私は犬の鼻が欲しい。自分の餌を求める
ままに進む、あの(黒い鼻)が――たと
え犬の鼻を持てなくとも、どうやら人の
第六感には、あの鼻がうっすら内蔵され
ているらしい――今日から私は自らの内
に、日々の匂いを察知する(黒い鼻)を
養おう――永らく眠っていた(獣の目)
を開き、くんくん…嗅ぎ分けて、私の道
すじが――路面に浮かび上がるように。  







自由詩 黒い鼻 Copyright 服部 剛 2015-03-27 23:01:41縦
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