版画人生
服部 剛

昔々…伯父さんの家に遊びにいくといつも、畳の
部屋に這いつくばって、すりすりすり…と無我の
境地の音を立て、何者かが憑り依った後ろ姿で、
すりすり…と和紙を摩る毎に段々…深みある旅人
の自画像が魔法のように浮かび上がって来たもの
だ――僕の日常も、在りし日の伯父さんの爪の垢
を煎じて飲んで VISION が段々…現れるといい。 

日々の旅路を夢中で、歩行する間に。  





 


自由詩 版画人生 Copyright 服部 剛 2015-01-25 00:00:35縦
notebook Home 戻る  過去 未来