露天風呂
服部 剛
ぼこぼこぼこ…泡の沸き立つ
黒い温泉に浸かる人々は
防水テレビの中を走る
箱根駅伝のランナー達に、目を細める
正月休みのひと時に
白いタオルを頭にのせて
自らの今年一年に、重ねるように
(この温泉から車で10分の
国道1号線を
先程ランナー達は通過したばかり…)
ざばーん
威勢のいい爺さんが
浮き出るあばらを汗で光らせ
(全身から白い湯気を昇らせ)
颯爽
(
さっそう
)
と、風呂を跨いで
ぴしゃぴしゃと裸身のままに去ってゆく…
新年の日に照らされた
横顔で、僕は湯に浸かり
今年一年の物語に
想いを巡らせ、瞳を閉じた
自由詩
露天風呂
Copyright
服部 剛
2015-01-03 20:43:57
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