AquArium

もともと正しさなんてないとすれば
あなたも罰せられることはないね

はじまりも不明確なら
終わりはもっとぼんやりしているでしょう

倫理や道徳という文字面の正義ほど
力のないものはないことを
あたしは知っているよ

守るものと
失いたくないもの
持ち合わせた2人なら欲望の渦から
大した痛みを伴わなくとも抜けられるはずで

あたしとあなたの間に流れるものに
意味を見出すほど無駄な作業はないね

不安も疑いも存在しない世界がある
そう思っていたけど
あなたほど冷酷にはなれなくて

それが、

とても、悔しい。

正直なあなたの隣で
少しの物足りなさと引き換えに
一瞬の温かさを全身で受け止めた翌朝

独特な柔軟剤の香りや
寝返りを打つタイミングを
覚えてしまって憎い

気怠さがあたしたちの罪を証明させる朝
カーテンから射す光のまばゆさに
また、目を閉じてしまう



ボトルキープしたウイスキーが
減ることはあるのか、
なんて思い浮かべたら最期

―どうせなら、
 複数いる彼女たちの中で
 一番になりたいの―

決して口には出さないですが


あたしのすべては
あなたのすべては
解らないままがちょうどいい

均衡を保つのに
その場限りの甘い言葉さえも不必要で
どんな眼でお互いを踏み抜いているのでしょう

笑ってしまうほど
滑稽な姿で重なり合っても
何を得られるでもなく、
体温だけが真実

決して嘘のない真っさらな夜明けを
あたしたちは信じている
いつでも、信じている

もともと正しさなんてないのだから
あたしも罰せられることはないね


自由詩Copyright AquArium 2014-12-07 22:32:31
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