芽吹きのドウダンツツジ
藤鈴呼



淡い 蝋燭の如き光が
ぽんやりと観えては
吐いた息を 吹き戻す風な
気球が ぽんやりと 上がる

錯覚の奥に 閉じ込めた紙に描かれた
素敵な言葉が 舞う

雪も舞う 何時の間にやら 季節は春
雨水 過ぎて尚 吹き続く 北風をも
払拭出来ぬまま 溜息を吐いた日々も
漸く 終わりを 告げるのだ

飛び立つ 蜂の姿が 見えた
もう 遊んでいるよ
蕾のままの ドウダンツツジは
決して 枯れてなんか いないのです

結構な 遊び場じゃあ ないですか
いいねえ 羽根たちは 雨水をも
払拭せんと している

ねえ この棒のような 隙間の奥に
哀が 見えるのね

雪解けを 待たずして
忘れた内に 訪れた 啓蟄
その名の 如くに


自由詩 芽吹きのドウダンツツジ Copyright 藤鈴呼 2014-11-13 09:32:07
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