朝の日記
服部 剛

染色体の一本多い、3才の周が
初めて言葉を発した
「それ…」
僕は身を乗り出して、聴き直す
「え、なに?」

目が覚めた――(なんだ、夢か…)
布団からひょっこり顔を出して
周はまだ、寝息を立てている

もう少しで周は
布団からむっくり身を起こし
小さい両手で、のびをする時間だ  

(いつになったら喋るのやら…)
ふだんは妻にも、口にしない
その言葉に蓋をして
心の中で言い直す
(彼には彼の、道がある…)

布団からひょっこり出る
ぬいぐるみのような周の寝顔を
じぃ…とみつめる、朝のひと時

待つ――という秘儀を想いつつ
今日の出勤の為にのびをする、僕は
窓越しに
朝のひかりを浴びて
布団から立ち上がる  








自由詩 朝の日記 Copyright 服部 剛 2014-11-09 22:56:00縦
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